事業承継における自社株式対策

事業承継における自社株式の承継においては、①後継者への自社株式の承継の準備②後継者以外の相続人への配慮、という2つの観点からの検討が必要です。 


①後継者への自社株式の承継の準備

後継者が安定的に経営をしていくためには、後継者に自社株式を承継させることが必要です(自社株式の保有割合は、株主総会で重要事項を決議するために必要な2/3以上の議決権の確保が目安)。

 

※自社株式(および事業用資産)は経営者の相続財産に占める割合が高く、後継者に集中的に承継させると、後継者や会社は、自社株式や事業用資産の買い取りや相続税の納付のため、多額の資金が必要になるケースがあります。たとえば、生命保険などで、後継者が困らないよう納税資金を準備しておくことが重要です。

 

②後継者以外の相続人への配慮

生前贈与や遺言を用いる場合でも、後継者以外の相続人の遺留分による制限があります。

 

また、自社株式等の後継者への生前贈与は、権利の移転が生前に実現するので、後継者の地位が安定する点で有効ですが、以下の点で注意が必要です。 

 

(イ)遺留分等民法上の問題

・生前贈与で分け与えた財産については、相続発生の際、後継者以外の相続人の遺留分による制約を受けるため、財産分配方針を決定した上で計画的に行うことが必要です。

※経営承継円滑化法の「民法の特例」を活用することも有益です。 

 

(ロ)贈与税の課税制度の検討

・贈与税の課税制度には以下の制度がありますが、どの制度を採用するにせよ、現経営者の生前に計画的に事業承継対策に取り組むことが、円滑な事業承継のために重要です。 

【暦年課税制度】

暦年毎にその年中に贈与された価額の合計に対して贈与税を課税。110万円の基礎控除があるが、税率は10%~50%の累進税率。

【相続時精算課税制度】

65歳以上の親から20歳以上の子への贈与について、選択制により、贈与時に軽減された贈与税を納付し、相続時に相続税で精算する制度。

2,500万円の特別控除があり、それを超えた額については一律20%の税率を適用。

※上記の他、経営承継円滑化法の「非上場株式に係る贈与税の納税猶予制度」の活用を検討することも有益です。

 

 

語句説明:「遺留分」 

:兄弟姉妹以外の相続人に対して最低限度の資産承継の権利を保障するための制度。例として相続人が妻及び子供二人の場合、妻が1/4、子供がそれぞれ1/8の割合の遺留分を有し、その割合を超えた贈与や遺贈は減殺請求により効力を失う。

 

 

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