1. iDeCoの3つの税制優遇
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、自分で掛金を拠出し、自分で運用商品を選んで老後資金を準備する私的年金制度です。次の3つのタイミングで税制優遇を受けられます。
- 積立時……掛金の全額が所得控除(小規模企業共済等掛金控除)の対象になる
- 運用時……運用益が非課税(通常の投資では約20%課税される運用益に税金がかからない)
- 受取時……一時金なら退職所得控除、年金なら公的年金等控除の対象になる
2. 2026年12月改正の内容 ― 掛金上限が大幅拡大
令和7年度の年金制度改正法により、2026年12月1日に施行され、拠出限度額の引き上げ自体は2027年1月拠出分から反映される見込みです。
区分 | 改正前の上限(月額) | 改正後の上限(月額) |
|---|---|---|
自営業者等(第1号被保険者) | 6.8万円 | 7.5万円 |
会社員(企業年金なし) | 2.3万円 | 6.2万円 |
会社員(企業年金あり)・公務員 | 1.2万〜2万円 | 企業年金と合算で6.2万円まで |
実務メモ:企業年金がある会社員・公務員の場合、上限額は「6.2万円-勤務先の企業年金の掛金相当額」で決まるため、実際にどこまで拠出できるかは勤務先の企業年金制度の内容次第です。企業型確定拠出年金(企業型DC)の事業主掛金額や、確定給付企業年金(DB)の他制度掛金相当額を勤務先に確認する必要があります。「厚生年金保険料」は国の年金制度であり、iDeCoの上限額には関係しません。混同しないよう注意してください。
3. 加入可能年齢が「70歳未満」に拡大
現行は原則65歳未満までしか加入できませんが、改正後は70歳未満まで拡大されます。60歳以降も厚生年金に加入して働き続ける方や、企業年金からiDeCoへ資産を移換する方などが対象です。ただし、老齢基礎年金やiDeCoの老齢給付金をすでに受給している場合は対象外になるなど、細かい要件があります。60代で加入・継続を検討する場合は、ご自身の受給状況と照らして確認が必要です。
4. 受取時の「10年ルール」にも要注意
令和7年度税制改正では、退職金とiDeCo(企業型DCを含む)を両方一時金で受け取る場合の退職所得控除の重複排除ルールも見直されました。従来は受け取りの間隔が5年空いていればそれぞれ満額の退職所得控除を使えましたが、改正後はこの間隔が10年に延長されます(2026年1月1日以降の受給分から)。掛金の上限が上がって将来の受取額が増える一方、受け取るタイミングの設計を誤ると、想定より税負担が増えることがあります。iDeCoと退職金、どちらを先に・いつ受け取るかは、あらかじめシミュレーションしておくことが重要です。
5. 実務のポイント
掛金の上限拡大は節税余地の拡大につながりますが、iDeCoは原則60歳まで引き出せない制度です。生活資金や教育資金など、近い将来に必要になる資金は別に確保した上で、無理のない範囲で掛金を設定することが大切です。
ご自身の掛金上限や、退職金・iDeCoの受け取り方の組み合わせでご不明な点があれば、お気軽にご相談ください。