1. どちらを使うかは「多かったか、少なかったか」で決まる
申告書を提出した後に誤りに気づいた場合、本来の税額より多く納めていた(還付が少なすぎた)場合は「更正の請求」、逆に本来の税額より少なく納めていた場合は「修正申告」を行います。なお、申告期限内であれば、どちらの方向の誤りであっても「訂正申告」(申告書の出し直し)で対応できます。期限を過ぎてから誤りに気づいた場合に、この2つの手続きが必要になります。
2. 更正の請求 ― 「取り戻す」ための手続き
経費の計上漏れや、医療費控除・寄附金控除などの控除の適用忘れに気づいた場合、更正の請求書を提出して還付を求めることができます。ただし、修正申告と違って納税者の請求だけでは税額は確定せず、税務署が内容を審査し、認められて初めて減額更正・還付が行われます。
実務メモ:更正の請求の期限は原則、法定申告期限から5年以内です(この5年ルールは、平成23年12月2日以後に法定申告期限が到来する国税から適用されています)。「もう何年も前の申告だから」と諦めず、5年以内であれば見直す価値があります。ただし、還付額が大きい場合や内容によっては、審査の過程で税務調査に発展することもあるため、申告前に根拠資料をしっかり整えておくことが重要です。
3. 修正申告 ― 早さが過少申告加算税を左右する
申告した税額が少なかった場合は、修正申告により正しい税額に訂正します。修正申告そのものには期限がなく、税務署からの更正を受けるまではいつでも行えますが、いつ行うかによって過少申告加算税の有無・税率が大きく変わります。
修正のタイミング | 過少申告加算税 |
|---|---|
税務調査の事前通知前に自主的に修正 | かからない |
事前通知後・調査による更正を予知する前に修正 | 新たに納める税金の5%(50万円超部分は10%) |
調査による更正を予知した後の修正・税務署からの更正 | 新たに納める税金の10%(50万円超部分は15%) |
加えて、新たに納める税金には延滞税も別途発生します。誤りに気づいたら、放置せずできるだけ早く対応することが、結果的に負担を最小限に抑える最善の方法です。
4. 5年を過ぎても請求できる「後発的理由」
更正の請求の期限は原則5年ですが、判決や和解によって課税の基礎となる事実が確定したなど、後から生じた事情(後発的理由)による場合は、その事由が生じた日の翌日から2か月以内であれば、5年を過ぎていても更正の請求ができます。ただし、こうした後発的理由による請求は事情が複雑になりがちなため、該当しそうな場合は早めに専門家へ相談することをおすすめします。
5. 一度出した修正申告・更正の請求は取り消せない
修正申告を提出した後に「やはり修正前の金額が正しかった」と考え直しても、原則として更正の請求で取り消すことはできません。逆もまた同様で、いったん提出した内容は簡単には撤回できないという前提で、提出前に内容を十分確認する必要があります。判断に迷う場合は、提出前に専門家に相談することをおすすめします。
6. 実務のポイント
過去の申告内容に不安がある場合、控除の適用漏れや経費の計上漏れがないか、5年以内の申告分を一度見直してみる価値があります。特に医療費控除や寄附金控除など、確定申告時に見落としやすい控除は少なくありません。
過去の申告の見直しや、誤りに気づいた際の対応についてご不明な点があれば、お気軽にご相談ください。