1. NISAの税制上の意味 ― 「運用益が非課税」
通常、株式や投資信託を売却して得た利益や受け取った配当金には、20.315%(所得税15.315%+住民税5%)の税金がかかります。NISA口座内で得た運用益にはこの税金がかからず、利益がまるまる手元に残るのが最大のメリットです。2024年からの新NISAでは、この非課税の仕組みが大幅に拡充され、制度自体も恒久化されました。
2. 新NISAの基本的な枠組み
項目 | つみたて投資枠 | 成長投資枠 |
|---|---|---|
年間投資枠 | 120万円 | 240万円 |
年間投資枠の合計:360万円 | ||
非課税保有限度額(生涯) | 合計1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで) | |
非課税保有期間 | 無期限 | |
つみたて投資枠のみで1,800万円全額を使うことも可能ですが、成長投資枠だけでは1,200万円までしか使えません。1,800万円をフルに活用するには、少なくとも600万円分はつみたて投資枠を利用する必要があります。
3. 「売却すれば枠が復活する」仕組み
新NISAの大きな特徴として、保有商品を売却すると、売却した商品の取得価額(簿価)分だけ非課税保有限度額が翌年以降に復活し、再利用できます。ただし、復活するのはあくまで翌年以降で、売却したその年のうちに買い直すことはできません。また、非課税保有限度額が復活しても、年間投資枠(360万円)の上限自体は変わらないため、限度額いっぱいまで一気に再投資することはできない点に注意してください。
4. 令和8年度改正 ―「こどもNISA」の新設
令和8年度税制改正により、これまで18歳以上に限られていたつみたて投資枠の対象年齢が撤廃され、2027年1月から0〜17歳の子どもも利用できる「こどもNISA」が始まる見込みです。
- 年間投資枠60万円、非課税保有限度額累計600万円(つみたて投資枠のみ)
- 18歳になった時点で、自動的に通常のNISA制度に移行
- 払い出しは原則制限されるが、12歳以降は、子本人の同意を得た書面とともに親権者が申出書を提出すれば可能
実務メモ:こどもNISAの非課税保有限度額600万円は、親のNISA枠(1,800万円)とは別枠で管理されます。教育資金の準備手段として、贈与税の非課税制度(暦年課税の110万円非課税枠等、VOL.27参照)とあわせて活用する選択肢が広がることになります。
5. 見落としやすい2つの注意点
①損失が出ても「損益通算」できない
NISA口座内で発生した損失は、税務上「なかったもの」として扱われます。通常の課税口座(特定口座等)であれば、他の株式の利益と損失を相殺(損益通算)したり、翌年以降に損失を繰り越したりできますが、NISA口座の損失にはこれらの制度が一切使えません。値下がりした商品をNISA口座で保有し続けるか、課税口座に移すかの判断は、この点を踏まえて行う必要があります。
②年間投資枠は使い切れないと消滅する
その年に使わなかった年間投資枠は、翌年に繰り越すことはできません。「今年は忙しくて積立を止めていた」という場合でも、未使用分が翌年に上乗せされることはなく、単純にその年の非課税枠が失われるだけです。
6. 実務のポイント
NISAは非課税の恩恵が大きい制度ですが、個別の投資判断そのもの(何を買うか、いつ売るか)はご自身の投資方針によるものです。当事務所では投資助言は行っておりませんが、NISAと相続・贈与・確定申告との関わりについてはご相談いただけます。
NISA口座の資産と相続財産の関係、こどもNISAと教育資金贈与の組み合わせ方などでご不明な点があれば、お気軽にご相談ください。