1. 償却資産税とは
固定資産税は、土地・家屋・償却資産の3種類に課税されますが、土地・家屋は登記情報等をもとに市区町村が自動的に評価するのに対し、償却資産(機械・器具・備品・構築物など)は、所有者が自ら市区町村へ申告する必要があります。この申告に基づく固定資産税を、実務上「償却資産税」と呼びます。法人税・所得税の申告とは別に、資産が所在する市区町村ごとに手続きが必要な点が特徴です。
2. 申告のタイミングと免税点
毎年1月1日(賦課期日)時点で所有している償却資産の内容を、1月31日までに、資産の所在する市区町村へ申告します。市区町村はこの申告内容をもとに評価額を計算し、課税標準額の合計が150万円未満の場合は課税されません(免税点)。
実務メモ:免税点未満だとしても、申告書の提出自体は義務です。「税金がかからないなら申告しなくていい」と考えて申告を怠ると、市区町村から「お尋ね」が届いたり、正当な理由なく申告しなかった場合の過料の対象になったりすることがあります。該当資産がなくても「該当なし」で申告する必要があります。
3. 申告対象になる資産・ならない資産
対象になるのは、土地・家屋・自動車以外の、事業のために使うことができる有形固定資産です(機械装置、工具器具備品、構築物、船舶など)。次のような資産は、法人税・所得税の計算上は経費として扱っていても、償却資産税の対象になる点に注意が必要です。
- 耐用年数が経過し、帳簿上は残存価額のみとなっている資産(1月1日現在使用できる状態であれば対象)
- 簿外資産(会社の帳簿に記載されていない資産)でも、事業の用に供することができるもの
- 遊休・未稼働の資産(1月1日現在、事業の用に供することができる状態であれば対象)
- 租税特別措置法の中小企業者等の少額資産の特例(VOL.05参照)を適用して損金算入した資産……法人税・所得税では経費になっていても、償却資産税では申告対象
一方、次の資産は申告対象外です。
- 取得価額10万円未満で一時に損金算入した資産
- 取得価額20万円未満で3年間の一括償却資産とした資産
- 無形固定資産(ソフトウェア・特許権等)、繰延資産
4. 「一括償却資産」を選ぶと償却資産税が軽くなる
取得価額20万円未満の資産を購入した場合、通常の減価償却をするか、3年間で均等に費用化する「一括償却資産」を選ぶかを選択できます(VOL.05参照)。ここで一括償却資産を選んだ場合、その資産は償却資産税の申告対象から外れます。法人税・所得税での経費化のタイミングはほぼ同じでも、償却資産税の負担という観点では一括償却資産を選ぶ方が有利になることがあり、少額資産をまとめて購入した年は、この選択が税負担に影響することを知っておくとよいでしょう。
5. 中小企業向けの特例措置
先端設備等導入計画の認定を受けて取得した一定の設備には、固定資産税(償却資産)の課税標準を軽減する特例が設けられています。令和7年度税制改正により、対象設備・軽減割合・適用期間(令和7年4月1日〜令和9年3月31日)が見直されており、生産性向上のための設備投資を検討している中小企業者は、計画の認定を受けたうえで取得することで、この特例の対象になり得ます。ただし、設備取得後に計画の認定を受けても特例は適用されず、認定が先、取得が後という順番を守る必要がある点に注意してください。
6. 実務のポイント
償却資産税の申告は、法人税・消費税の確定申告とは別の手続きで、複数の市区町村に事業所を持つ会社は、それぞれの市区町村ごとに申告が必要です。年末調整・法定調書(VOL.68参照)の作業と時期が重なるため、後回しにされがちですが、申告漏れは思わぬトラブルにつながります。
償却資産税の申告書作成や、少額資産の処理方法(一時損金・一括償却資産のいずれを選ぶか)についてご不明な点があれば、お気軽にご相談ください。