西原公認会計士・税理士事務所

税務コラム VOL.80 / 法人税・勘定科目区分

領収書に「寄付金」と書いてあっても、それとは限りません ― 交際費と寄附金の区分、決め手は「見返り」の有無

  • 交際費は事業に関係のある相手への接待・贈答、寄附金は見返りを求めない贈与という違いがある
  • 名目が「寄付金」であっても、実質的に見返り(対価性)があれば交際費等として扱われる
  • 寄附金は支出先の種類ごとに損金算入限度額が異なる(国等への寄附は全額、それ以外は限度額あり)
  • 計上時期にも違いがあり、交際費は未払計上できるが、寄附金は実際に支払った時点でしか損金にならない

1. 判定の核心は「対価性(見返り)」の有無

交際費とは、得意先・仕入先その他事業に関係のある者に対する接待・供応・慰安・贈答などのために支出する費用を指します。一方、寄附金とは、金銭・物品その他経済的利益を贈与または無償で供与した場合の金額です。両者とも「社外への支出」という点では共通していますが、支出することで自社に何らかの見返り(取引関係の維持・強化など)が期待できるかどうかが決定的な違いです。見返りが期待できる支出は交際費等、期待できない一方的な贈与は寄附金、という整理になります。

2. 「名目」ではなく「実態」で判定する

国税庁の通達も明確に、「寄附金であるか交際費等であるかは個々の実態により判定すべき」としています。領収書や請求書に「寄付金」「協賛金」「見舞金」と書かれていても、それだけで税務上の寄附金として確定するわけではありません。

実務メモ:取引先が主催するイベントに「協賛金」として支出した場合でも、自社の名前や商品がイベント会場・パンフレットで広く告知されるなど、宣伝効果という見返りが明確にあれば、寄附金ではなく広告宣伝費として扱われることがあります。逆に、事業に直接関係のない相手への金銭の贈与は、名目にかかわらず原則として寄附金とされる点にも注意してください。

3. 交際費に含まれない代表的な支出

通達では、交際費に類する支出であっても、次のようなものは交際費等から除かれるとされています。専ら従業員の慰安のために行う運動会等の費用(福利厚生費)一人当たり10,000円以下の飲食費(一定の書類を保存している場合、VOL.04参照)などが代表例です。一方、得意先を旅行・観劇に招待する費用や、得意先の従業員への取引謝礼などは、交際費等に含まれるとされています。

4. 寄附金は「支出先」で損金算入限度額が変わる

寄附金に区分された場合、支出先の性質によって損金算入できる範囲が異なります。

  • 国・地方公共団体への寄附金、指定寄附金……全額損金算入
  • 特定公益増進法人(認定NPO法人等を含む)に対する寄附金……一般の寄附金とは別枠の限度額(特別損金算入限度額)まで損金算入
  • 一般の寄附金(上記以外)……資本金等の額と所得金額を基準にした限度額の範囲内でのみ損金算入

一般の寄附金の限度額は、大まかには「(資本金等の額×月数/12×2.5/1000+所得金額×2.5/100)×1/4」という算式で計算され、多くの中小企業では実際に支出した寄附金の一部しか損金にならないケースが多くなっています。なお、100%グループ内の法人間で行う寄附金は、グループ法人税制(VOL.18参照)により全額損金不算入となる点にも注意してください。

5. 計上時期の違い ― 「未払い」が使えるかどうか

交際費は、決算期末までに支払い義務が確定していれば、実際の支払いが決算後であっても未払計上できます。一方、寄附金は実際に金銭等を支払った時点でしか損金にできません。決算をまたいで未払計上した寄附金は、その事業年度の損金として認められないため、決算月末に慌てて協賛金や寄付を約束しても、実際の支払いが翌期にずれ込めば、当期の損金にはならない点に注意が必要です。

6. 実務のポイント

地域のお祭りへの協賛、取引先の周年イベントへの祝い金、業界団体への拠出金など、判断に迷う支出は少なくありません。支出の目的・相手先との関係・見返りの有無を整理し、証憑(案内状・パンフレット等)を保存しておくことが、税務調査での説明に役立ちます。

交際費か寄附金かの判定に迷う支出があれば、お気軽にご相談ください。

※本記事は公開時点の法令等に基づいて作成しています。個別の適用可否については必ずご確認ください。

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