西原公認会計士・税理士事務所

税務コラム VOL.98 / 消費税・軽減税率

同じハンバーガーなのに、税率が変わります ― 軽減税率制度、店舗事業者が押さえるべき判定基準

  • 軽減税率(8%)の対象は「酒類・外食を除く飲食料品」と「週2回以上発行の新聞(定期購読)」の2種類のみ
  • 外食かどうかは「飲食設備での提供か」「顧客に飲食させるサービスか」で判定し、注文時点の顧客の意思表示で税率が決まる
  • 食品と非食品のセット(一体資産)は、税抜1万円以下かつ食品部分が2/3以上なら全体が軽減税率になる
  • 税率区分を誤ると過少申告加算税のリスクがあるため、レジ・会計処理での税区分設定が重要

1. 軽減税率の対象は「たった2種類」

2019年10月の消費税率10%への引き上げにあわせて導入された軽減税率制度は、生活必需品への配慮から、特定の品目の税率を8%に据え置くものです。対象は①酒類・外食を除く飲食料品の譲渡②週2回以上発行され、定期購読契約に基づく新聞の2種類だけに限定されています。日用品・医薬品・外食・酒類は対象外で、8%か10%かの判定は品目の種類だけでなく提供方法や契約形態によっても変わる点が、実務での混乱の原因になっています。

2. 「外食」の判定基準 ― 場所とサービスの2要件

飲食料品の譲渡であっても、次の両方を満たす「外食」は軽減税率の対象外(10%)になります。

  • 場所要件……テーブル・椅子・カウンター等の飲食に用いられる設備のある場所であること
  • サービス要件……その設備がある場所で顧客に飲食させるサービスを行うこと

実務メモ:ファストフード店で「店内で食べます」と答えれば10%、「持ち帰ります」と答えれば8%になる、という判定は注文時点での顧客の意思表示で行います。一度「持ち帰り」で会計した後、実際には店内で食べたとしても、事業者側で税率を変更する義務はありません。逆に「店内で」と答えた後に気が変わって持ち帰っても同様です。回転寿司店で客席に着いた状態でパック詰めして持ち帰る場合は、店内飲食と区別されない状態のため軽減税率の対象外になる、といった細かい判定もあります。

3. ケータリング・出張料理は「外食」扱い

顧客が指定した場所へ出向いて調理・配膳等のサービスを提供する「ケータリング・出張料理等」も、外食と同様に軽減税率の対象外(10%)です。単に完成した料理を届けるだけの宅配・出前は「譲渡」として軽減税率の対象(8%)になりますが、現地で加熱調理や盛り付け・給仕まで行うケータリングは、自宅で食べる場合であっても標準税率になる、という違いがあります。ただし、有料老人ホームでの食事提供や学校給食は、一定の要件のもとで軽減税率が適用される例外です。

4. 「一体資産」の1万円・2/3ルール

紅茶とティーカップのセット、お菓子とおもちゃのセットのように、食品と食品以外の資産があらかじめ一体になっていて、一つの価格で販売されるものを「一体資産」と呼びます。原則は全体が標準税率(10%)ですが、次の両方を満たせば全体が軽減税率(8%)になります。

  • 一体資産の税抜価格が1万円以下であること
  • 一体資産のうち食品部分の価額が占める割合が2/3以上であること(原価等をもとに事業者が合理的な方法で計算)

5. 見落としやすい対象外品目

飲食料品に見えても、次のようなものは軽減税率の対象外(10%)になる点に注意が必要です。医薬品・医薬部外品(特定保健用食品・いわゆる「トクホ」は食品表示法上の食品に該当するため対象)、水道水(生活用水と混然一体で提供されるため。ペットボトルのミネラルウォーターは対象)、電子版・デジタル版の新聞(紙の新聞の定期購読のみが対象)、コンビニ・駅売りの新聞(定期購読契約に基づかないため対象外)などです。従業員向けの社員食堂での食事提供も、外食の一種として扱われ標準税率になります。

6. 実務のポイント

飲食料品や新聞を取り扱う事業者は、レジシステム・会計ソフトの税区分設定を8%・10%で正しく分けておくことが不可欠です。8%と10%が混在する取引を一律10%で処理してしまうと、消費税額の集計・仕入税額控除の計算に誤りが生じ、過少申告加算税(VOL.91参照)のリスクにつながります。判定に迷う商品は、国税庁の質疑応答事例や業界団体の指針も参考にしつつ、社内で判定ルールを統一しておくことをおすすめします。

自社の商品・サービスの税率区分についてご不明な点があれば、お気軽にご相談ください。

※本記事は公開時点の法令等に基づいて作成しています。個別の適用可否については必ずご確認ください。

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