西原公認会計士・税理士事務所

税務コラム VOL.100 / 令和8年度税制改正・総まとめ

令和8年度税制改正のポイント総まとめ|178万円の壁・食事補助・設備投資・防衛特別所得税

この記事のポイント

結論
令和8年度税制改正法が成立・公布されました。
対象者
給与所得者・個人の方、中小企業の経営者の方
最重要注意点
改正項目ごとに施行日・適用時期が異なります。
  • 令和8年度税制改正法は令和8年3月31日に成立・公布されました
  • 給与収入だけで一定の所得要件を満たす方は、所得税の課税最低限が178万円まで引き上げられます
  • 給与所得控除の最低額は、令和8年分・令和9年分について74万円となります
  • 会社が支給する食事の非課税限度額は、令和8年4月1日以後、月額7,500円に引き上げられました
  • 令和9年1月から防衛特別所得税が始まりますが、復興特別所得税との合計税率は2.1%のままです

公開日:2026年7月10日 最終更新日:2026年8月2日

令和8年度税制改正法は、令和8年3月31日に成立・公布されました。今回の改正は、物価上昇への対応と、賃上げ・投資が牽引する「成長型経済」を目指す一年の改正といえる内容で、個人・法人双方に影響の大きい項目が数多く盛り込まれています。

令和8年度税制改正の5つのポイントをまとめた図解
※ 178万円の壁は、給与収入のみで一定の所得要件を満たす方の所得税の課税最低限に関する説明です。住民税や社会保険の扶養基準とは別に確認が必要です。

1. 改正の全体テーマ

令和8年度税制改正大綱は、令和7年12月26日に閣議決定されました。柱は大きく2つで、①物価上昇への対応(基礎控除等の引き上げ、就業調整への配慮)と、②「強い経済」の実現に向けた対応(大胆な設備投資促進、賃上げ促進税制の見直し、研究開発税制の強化)です。あわせて、極めて高い水準の所得への負担適正化、自動車関係諸税の見直し、防衛力強化のための財源確保なども盛り込まれた、個人・法人双方に影響の大きい改正年になっています。

2. 個人の方向けの主な改正(既出テーマの振り返り)

3. 見落とされがちな新規改正 ―「食事の非課税限度額」

本シリーズでまだ取り上げていない改正の中で、実務への影響が大きいのが食事の非課税限度額の引き上げです。会社が従業員に食事を支給する場合、一定の要件(従業員が食事代の半額以上を負担すること等)のもとで、会社負担額のうち月額の非課税限度額までは給与課税されません。この限度額が、月額3,500円(税抜)から7,500円(税抜)へと大幅に引き上げられます。

この引上げは、令和8年4月1日以後に支給する食事から適用されます。非課税とするためには、従業員が食事価額の半額以上を負担することなど、従来からの要件も引き続き満たす必要があります。

実務メモ:この非課税枠の範囲内であれば、給与として課税されることなく従業員に食事補助を提供でき、会社側も福利厚生費として損金算入できます。物価高が続く中、社員食堂・食事補助制度(チケットレストラン等)の導入・拡充を検討する企業にとって、追い風となる改正です。人材確保・福利厚生の強化を検討されている経営者の方は、この非課税枠の拡大を活用する価値があります。

4. 法人向けの主な改正

5. 資産課税・その他の見落としやすい改正

  • 固定資産税・不動産取得税の免税点引き上げ……固定資産税は家屋20万円→30万円・償却資産150万円→180万円(土地は改正なし、税額がゼロでも、申告書は出してください ― 償却資産税、忘れられがちな1月31日の申告義務参照の内容も更新予定)、不動産取得税は土地・家屋45万円→116万円
  • ふるさと納税の高所得者優遇制限……令和9年寄附分から、住民税の特例控除額に定額上限193万円を設定。給与年収1億円クラスの超高所得者が主な対象で、一般的な会社員・中小企業経営者への影響は限定的(ポイント還元、もう付きません ― ふるさと納税、ワンストップ特例と確定申告の使い分け参照)
  • 防衛特別所得税の創設……令和9年1月から所得税額に対して防衛特別所得税(1%)が創設されます。同時に、復興特別所得税の税率が2.1%から1.1%へ引き下げられるため、両者を合わせた付加税率は改正前と同じ2.1%のまま変わりません。単純に所得税の負担が1%上乗せされるものではない点にご注意ください。
  • 自動車関係諸税の見直し……自動車税等の環境性能割の廃止、軽油引取税の当分の間税率の廃止など

6. 実務のポイント ― 100回にわたりお付き合いいただきありがとうございました

令和8年度税制改正は、個人の手取り増加と企業の投資促進を両輪とする「成長型」の内容です。基礎控除の引き上げのような身近な改正から、設備投資促進税制のような経営判断に直結する改正まで幅が広く、経営者の方・個人の方それぞれが自分に関係する部分を正しく理解しておくことが重要です。

本コラムは今回で第100回を迎えました。インボイス制度の基礎から始まり、法人税・所得税・相続税・消費税・社会保険まで幅広いテーマを取り上げてまいりましたが、税制は毎年のように改正が続きます。本記事は、令和8年3月31日に公布された改正法及び、その後に公表された国税庁資料に基づいて更新しています。改正項目ごとに施行日や適用時期が異なるため、実際の適用に当たっては最新の法令・通達等をご確認ください。当事務所では引き続き最新情報を追いながら、皆様の経営・生活に役立つ情報をお届けしてまいります。

ご自身やご事業に関わる改正内容について、具体的な影響や対応についてご相談されたい場合は、お気軽にお問い合わせください。

注意

178万円の壁は所得税基準であり、住民税・社会保険の扶養基準とは別です。

注意

防衛特別所得税は単純な1%の上乗せではありません。

実務ポイント

非課税枠の拡大を活用する価値があります。

会社の食事補助を非課税にできるか、確認しましょう

  • 従業員が食事価額の半額以上を負担しているか
  • 会社負担額が月額7,500円(税抜)以下か
  • 令和8年4月1日以後に支給する食事か

上記は確認すべき論点の整理であり、税務上の判断を確定するものではありません。個別の適用可否は要確認です。

※本記事は公開時点の法令等に基づいて作成しています。個別の適用可否については必ずご確認ください。

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